「山雲」
東山魁夷 (日本画家)
東山魁夷は、昭和を代表する国民的風景画家といわれています。度重なる身内の死や過酷な戦争体験を経て風景画家として開眼し、数多くの名作を残しました。
戦後すぐに描いた『残照』や、新しい時代の幕開けを感じさせる『道』など、つらい時代を乗り越えてきた国民の心に寄り添うような作品も多く、どこか懐かしさを感じさせるようなあたたかみのある風景を幻想的に描いた作品が、多くの人々の心を癒し、惹きつけてきました。
「青」を使った作品を多く残しているため、青の巨匠とも呼ばれる東山魁夷。文筆家としても知られており、『わが遍歴の山河』や『風景との対話』などの多くの画文集も制作しています。それらは、魁夷がどのように作品と向き合ってきたのかをうかがうことができる、貴重な資料といえるでしょう。
文豪の川端康成と親しくしていたことでも知られ、友人関係であった彼らは何十通にも及ぶ往復書簡を残しています。
1973年に唐招提寺障壁画の制作準備の為、日本各地を取材旅行し、山と海の写生を100点以上かさね1975年5月、唐招提寺障壁面 《山雲》《濤声》が完成し、6月3日に御影堂へ奉納する。その<山雲>の習作(下図)が、本作品の原画であり、東山芸術を代表する1作になります。
木版画 /制作年1993年 /限定部数 国内版 250部
原画は1973年制作 東山魁夷美術館蔵
サイズ:画寸 h 30× w 42.5㎝ 額寸 h 52× w 64.5㎝